※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 合宿所の階段を上がったところで、若林くんと会った。若林くんは珍しく眠そうな顔で僕を見つめ、それからいきなり腕を伸ばして、僕を腕の中に閉じ込めた。 「若林くんっ何するの!」 もう夜も遅いからと声を潜めて言っても、若林くんは気にする様子もなく、ホールドしている。これはまずい、と少し大きな声で繰り返すと、若林くんは顔を上げた。 「・・・夢じゃなかったのか!」 翼くん達の部屋に泊まる話はしたはずだ。寝る前に話し過ぎたせいで、喉が渇いていて食堂でお水を飲んで、部屋に戻る途中だった。 「岬と全然話せないから、幻を見たのかと思ったぞ」 そう言って、若林くんはまだ手を離さない。 そりゃ、チームの敵みたいにふるまって、憎まれ口を叩いている中、僕も普段通りにはできない。 でも、今の状態を見られるのは、更にまずいんじゃないだろうか。 そう言っても、若林くんはもう少しだけ、とか言いつつ、僕のにおいを嗅いでいたりする。 「誰かに見つかったら大変だよ。ねえ・・・」 「俺は困らない」 きつく抱き込まれるのは、気持ち良くて、つい目を閉じそうになる。その間も、若林くんの手は僕の腰にまわる。このまま流されてる訳にはいかない。僕は腕を立てて若林くんを拒んだ。 「ダメだよ。もうっ」 若林くんの腕を払いのけて、僕は向き直る。 「じゃあ、おやすみ。またうちに来てよ」 「じゃあ明日行くからな」 練習中の雰囲気が嘘みたいに、甘い声で囁かれて、思わず立ち止まった。 「約束したぜ」 そのままキスまでして、立ち去った若林くんの背中を見送り、僕はため息をついた。
部屋に戻り、みんなでごろ寝してたベッドに潜り込む。出た時と同じように、翼くんと石崎くんの間に忍び込むと、こっちに寝返りを打った翼くんは、 「若林くんのにおいがする~」 と呟いた。起きてるのかと確かめても、起きている様子はなく、よく寝ている。 「確かに若林だ~」 石崎くんまでが呟いた時には、恥ずかしくて死ぬかと思った。 「若林さん?」 「若林さん?」 隣のベッドから、複数の寝ぼけ声まで聞こえて来て、僕は耳を塞いで寝ることにした。 そして、二度と合宿所に泊まるのはやめようと思ったのだった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 前回に引き続いて、岬くん危機一髪inフランス。 寝ぼけ南葛は想像している時は面白かったのですが、文章に落とすとそうでもなかった・・・。
ここのところ忙しいので、年末位から書いたものを順次公開でやりくりしています。 五十音シリーズは短くて済むようなお題を自分で作っているだけあって、かつてないほどのストックが! ただ、更新予約を忘れるとどうしようもないのですが。4月になったら、もう少し真面目にします。本当です。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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