※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 井沢は気付いていなかったが、彼が呆然と用具倉庫を出た直後、入れ違いに来た人物がいた。三杉と松山は休憩の間に、この後チームに分かれてミニゲームをしようかという話になり、ビブスを取りに来たのだった。そして、二人は倉庫裏の話し声を耳にすることになる。 「もうやめてね!お願いだから」 ボルテージが上がり、声も大きくなっていることに気付かないまま、岬は怒っていた。 その時だった。 「誰だよ、岬を困らせた奴は!!」 倉庫裏で隠れるように話していたところにいきなり乱入されて、岬は声を失った。目を丸くしている岬を庇うように躍り出て、松山は岬に怒られているのが若林だと知った。 「若林、岬に何したんだ!」 一方的に若林を悪者と決めつけて責める態度に、三杉と岬は思わず顔を見合わせた。松山には恋愛の機微は分からない。 「きっと二人はケンカをしてたんだよ。納得いくまで放っておかないかい?」 空気を読んで、執り成そうとする三杉も押し退けて、松山は若林に詰め寄る。 「おい若林、何とか言えよ」 だが、追い詰められたのは、尋問された若林ではなく、隣にいた岬の方だった。説教とはいえ、ツーショットタイムを完全に妨害されて、若林はすっかり腹を立てている。その上この言い種では、若林でなくても臍を曲げかねない。 「松山」 背中に庇った岬に呼びかけられて、松山が振り返る。 「僕は大丈夫だよ。若林くんに、変な人に絡まれないコツを聞いていただけだから」 ニコッと笑みを向けられて、松山は頷いた。 「そうか。それなら安心だな。若林もありがとうな」 心から安心したらしく、晴れやかな笑顔で松山は去って行く。さっきまでの一触即発から、急転直下に訪れた平和に、若林はまだ残っていた二人に尋ねた。 「・・・あれはすごいな」 若林も、また岬も相当マイペースで、三杉は知らぬ者もないくせ者だが、今回は終始松山のペースだった。 「松山は天然だよね。何というか、天然記念物」 親しさの証としての言い方で、岬が松山を評すると、三杉が言葉を重ねる。 「というよりは、天然危険物というべきだね」 辛辣な言葉を吐きながら、優美に微笑む三杉に、3Mは恐れられるはずだと、途方に暮れる若林だった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 前回井沢くんを書いた時に、他の人はどうだろうかと考えたのですが、岬くんはおとなしくないと知っている日向くんと若島津くんは平気でしょうし、三杉くんはどうでもいいでしょうし、と考えて、松山くんが若林くんを責め始めたら面白いと思ったのでした。タイトルは思いついた途端これしかなくなりました。
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|