※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 熱を出して寝ている、と電話で話したのが悪かった。たまたまオフだったんだ、と聞いてもいない言い訳をして、若林くんはやって来た。言い訳されるまでもない。電話をくれること自体が休みの前の日の証拠で、いつもの通りの誘いだったのだから。 「見舞いも持って来たから、看病してやるよ」 若林くんは当然のように言うけれど。 「ダメだよ。健康管理も仕事の内なのに、何バカなこと言ってるのさ!」 我ながら、口調が激しくなった。 若林くんは僕をのぞき見て、それからおでこに手を当てた。来たばかりの若林くんの手は、冷たくて気持ち良かったけれど、若林くんの意見は違った。 「岬、お前熱あるぞ。ほら、おとなしく寝てろって」 若林くんはそう言った後、それから声を大きくした。 「ベッドにおとなしく戻らなければ、抱き上げて連れて行くぞ」
若林くんの恫喝という説得に負けて、僕はさっさとベッドに入った。 若林くんが入って来たのは、それからしばらく経ってからだった。 「岬、食欲は?」 湯気の立ったお粥に、薬、それと一緒にお盆に載っていたのは、ガラスの器に入ったモモだった。 「ありがとう。何とか大丈夫。それより、モモおいしそうだね」 甘い香りはシロップらしい。冷たそうなのもありがたいと思った。 「熱あるから、こういうの欲しいかと思ってな」 若林くんは笑いながら、スプーンを手渡してくれた。確かにお粥よりもモモの方が気になって、モモをスプーンですくう。 「あ、おいしい!」 モモのシロップ漬けなんて、子供の時以来だ。日本にいる時には、缶詰をもらうことがあったけれど。 「若林くん、ありがとう。わざわざ買って来てくれたの?」 感謝して尋ねると、若林くんは少しだけ顔をしかめた。 「家に缶詰があったから持って来た」 やっぱり缶詰だったのかと合点しながらも、一瞬にして不機嫌そうな答えに、つい心配になる。 「僕、何か気に障るようなこと言った?」 恐る恐る聞いた僕に、若林くんはぷいと横を向いた。 「子供の頃に好きだったからって、まだ送られてくるんだぜ」 それでそんな機嫌が悪いのか!!たちまち納得した後は、そんな風に拗ねている若林くんが可愛く思えて仕方なかった。 「若林くん、さっきのお粥も食べたいな。少し冷めたかな?」 「さっきは出来立てだったから、ちょうど食べ頃だぞ」 いそいそと給仕をする姿を横目に、早くいただいて早く寝ようと思った。こんなにドキドキしていたら、熱も下がりそうにないもの。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 看病イベントなんですが、末っ子で可愛がられていたであろう若林くん話に。 ももの缶詰好きの小さい若林くんを想像するだけで萌えます。
さて、COLORS さまで桐乃様よりリクエストをいただいていました観覧車話をUPいただきました。銀月星夢様にもリクエストされたと聞いていたので、とりあえず先に出して逃げようと思っていたところが、まさかのメールエラーで届かずに、後になってしまうという悲劇付き。いや、まあ、観覧車話二度目なので、(一度目は「妄想遊園地バトン」)ネタ切れということでご容赦いただきましょう。
忙しい最中ですが、頑張ります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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