※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 若林くんと一緒に、録画していたサッカーの試合を観ていた。 「ロスタイムでの得点なんて、悪夢のようだな」 若林くんが心底嫌そうな口調でこぼした。確かにそうだろう。試合以外に使った時間を後で与えられるロスタイムは、僕達フィールドプレーヤーにとってはチャンスタイムだと思うけれど、キーパーの意見は違う。 「罰ゲームみたいな時間だよな」 最後のチャンスだ。それが終われば、試合が決まってしまったりする。それだけにロスタイムは攻撃が集中することも多い。短い時間なだけに、自然に密度は濃いものになる。キーパーの負担は大きい。 「まあ、そうかも知れないね」 そう言った時に、急に僕の携帯電話が鳴った。着信音は切っていたつもりなのに、と若林くんに会釈しながら、電話に出る。 「あ、岬くん、来月の試合後って空いてない?」 電話は三杉くんからだった。試合後に食事に行きたいらしい。三杉くんのお勧めの店なら、外れはないはずだから、とありがたく誘いを受けて電話を切ったところで、目の前に立った若林くんと目が合った。 邪魔にならないようにと部屋の隅に避けていた以上、それを塞ぎ、壁になるような形で立ちはだかったのは若林くんの方だ。 「何か?」 何か言いたげな顔に、先に尋ねると、若林くんは鋭い目を少し細めて、僕を見下ろした。 「今のロスタイムな」 「えっ!?」 さっきまでロスタイムは罰ゲームのような時間だとか何だとか言ってなかっただろうか。軽い口調で楽しそうに言われたし。試合を真剣に観ていた、あの凛々しい表情はどこに消え失せたのだろうか。 「・・・もう、相変わらずだね。えっと、寝る時間を15分遅らせるね」 「それじゃあ、話が逆だ。朝起きるのを30分遅くするのな」 「・・・じゃあ、それで」 交渉がまとまったところで、早速くっついてきた若林くんに閉口しながら、このロスタイムは僕にとって無事に終わりそうにないな、と思った。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 この落差が好きで、つい書いてしまいます。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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