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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
パーカー
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「おはよう、若島津。これから朝ごはん?」
「ああ。岬は随分早いな」
「朝練行ったからね」
今日は今日。朝、食堂に行く途中で、岬とすれ違った。何か違和感があり振り返ると、岬の後ろ姿が見える。パーカーにジャンパーを着ていたな、と思い出して、その違和感の正体に気付いた。

「岬はパステルカラーが似合うよな」
先日反町が言った。そう言う本人はストライプのシャツだ。ストライプが細いのがこだわりらしい。
「確かに似合うな」
その日、岬はシャツに薄いピンクのカーディガンというコーディネートで、反町がことさら言ったのも無理はない。
「三杉も昨日カーディガン着てたよな」
「キャメルのVネック。あの着こなしは見事だった」
反町のファッションチェックに付き合っていたせいで、他の連中の私服傾向が少しずつ分かって来た。毎日変わるすごい柄のシャツといえば早田。どこで売っているのか聞きたいような謎Tシャツの滝や、子供服かと思うセンスの来生のせいで、普通のシャツでもやたらセンス良く見える井沢。いつもいつもペアの洋服を着る立花兄弟。日向さんは寮と同じく常にジャージ。松山はそれにハチマキ。
 その中で目立つのは、反町いわく「金に糸目をつけない」三杉、「パステルカラーを着こなす」岬、そして反町だ。毎日違う服を着ているのに、印象は変わらず、インテリメガネ、爽やかメガネ、チャラ町である。

 その岬が今日は赤いパーカーを着ていた。普段淡い色合いが多いだけに、似合ってはいても違和感は拭えない。珍しいこともあるな、と思った時だった。
「おはよう」
その時食堂の入口で行き会ったのは若林だった。朝からあまり見たくない顔だ。見苦しいとまでは言わないが、でかい図体で大体原色を着ているのは暑苦しい。
「おはよう」
さっと挨拶をかわし、通り過ぎようとして、気付いた。
 若林は今日も原色だ。赤いパーカーは派手で、薄手のパーカー越しにも、無駄にムキムキした筋肉が目立つ。そう思ったところで、脳裏を横切ったのは、その前にすれ違った岬だった。珍しく赤を着ていた。

 ・・・ペアルックか。

 若林と岬がそういう仲なのは薄々知っている。意外と頑固な岬と意外と素直な若林は合っているとは思うし、好きにすれば良いが、こうあからさまなのはどうか。

 ・・・隠すなら、隠し通せ。

 呆れた顔で食堂に入り、周囲を見渡す。先に来ていた日向さんと反町を見付け、そのテーブルに加わった。日向さんは相変わらず黒いTシャツで、少々遠くても、すぐに分かる。
「おはようございます。日向さん」
「おはよう若島津、機嫌悪そうだな」
「何でもありませんよ」
これくらいで動揺するとは、平常心が足りないにも程がある。息を吐いて平常心に戻す。
「おはよう若島津、お前最近よく黒着てるよな」
だが、その直後の反町の一言は俺の平常心を打ち砕いた。常にジャージの高校とは違い、私服だから、と用意してきた服だ。それが無意識とはいえ、あのバカップル並だったとは。
「俺、これからグラウンド走って来ます!」
「おい、今日休みだぞ」
反町の声を背に駆け出すと、その後に追って来る声。
「ランニングなら付き合うぜ。食器片付けたら行くからよ!」
この赤くなった顔は、あんたにだけは見られたくないんです、日向さん。
 俺はそのまま廊下を逃走し、三杉に捕まって説教を受けることになったが、日向さんに気付かれなかったのはありがたかった。

 バカップルは、出かけた時と同様に時間をずらして帰ってきたが、やっぱりペアルックで、明らかに一人は挙動不審だった。もう一人は変に機嫌が良く、こんな奴がライバルかと思うと心底情けなくなった。

 その日から、俺は反町のファッション談義を断固拒否したのだった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
夜中に思い付いて一気に書き上げるとダメだなと痛感しました。>新春スペシャル
今回もそれに近いノリですみません。ペアルックが書きたかったんです。若島津くん目線はやっぱり難しい。でも、三杉くん目線は書きたくない、反町くん目線では源岬は難しそうということで、若島津くんに。
とりあえず二人ともパーカー似合いますよね!(これが言いたかった)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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