※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「本当にすごいね・・・」 岬はいかにも驚いた様子で呟いた。
世界一のクリスマスマーケットというだけあって、その熱気は少し離れて歩くこちらにまで伝わって来る。 「ああ、そうだな」 色とりどりの明かりが灯る中、岬の目の中には、それにも優る明るい星が輝いているように見えた。思わず目を奪われて気の抜けた返事をしたところで、岬と目が合った。 「どうしたの?」 「いや何でもない」 さりげなく他を見る振りをして、岬を目で追った。岬は首を傾げていた。
「若林くん良かったの?」 腹も膨れ、手荷物がそこそこ増えたところで、喧騒を離れた。マーケットの明かりから離れると、急に静かになり、足元を照らすのは街灯とほのかな月の光。 おずおずと話しかけてきた岬を振り返ると、ひどくまじめな表情で俺の様子を窺っていた。 「何が?」 尋ねると、岬は伏せていた視線を上げて、俺を見上げた。 「チームのパーティーとかあったんじゃないの?」 さっきの様子を気にしてくれていたらしい。確かにパーティーの話もあった。だが、それ以上に大事な予定が入った。 「今年は負けて終わりだったから、きっと湿っぽいぜ。岬と楽しく過ごす方がいい」 「・・・それなら良いけど」 納得のいかない表情の岬をそのまま目で追う。相変わらず可愛らしい笑顔だが、その割に一向に尻尾を掴ませない。するりと身をかわして、何事もなかったかのように微笑む。 「でも、ちゃんと楽しめた?」 「ああ、もちろん」 クリスマスに、岬と二人。こんなに長く一緒にいたのは初めてで、楽しかった。 「ふふっ。若林くんは良い子だね。きっとサンタさんが来てくれるよ」 岬は年上ぶって言うと、そんな保証をくれた。でももし、注文をつけるとしたら。 俺は斜め後ろ後ろを振り返った。足元には二つの影が斜めに伸びている。隣を歩く岬の影に合わせるように、手を伸ばす。二つの影はまるで、恋人同士のように並び、手を繋いだ。 「じゃあ、願い事決めないとな」 望むのは、たった一つ。この影絵のように、捕まえたい。 「うん。叶うと良いね」 無邪気に微笑む岬の笑顔はまるでクリスマスの天使で、サンタが来るまでもなく、幸せな気持ちだった。
(終わり)
拍手ありがとうございます。 クリスマス話が思いつかなかったので、ギリギリに。 大風邪引いたので、寝ます。クリスマス、何それ?状態。
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|