※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「誕生日に欲しいものってある?」 岬からの突然の電話の内容はそれだった。12月の声も聞かない内に連絡してくれるのはいかにも岬らしく、忙しい合間を縫って、プレゼントを用意しようとしてくれているのが伝わる。 「そうだな・・・岬が会いに来てくれることかな」 むしろ、それしかない。その上、クリスマスにも年越しにも会いたいと言うから、岬が困っていることも分かっている。 「それ以外でお願い」 岬も俺の答えを予測していたらしく、即答した。確かに12月にこっちに来るのは、高校生にはなかなか大変だろう。 「じゃあ、手紙書いてくれよ。ラブレター」 電話の向こうで、岬が息を飲んだのが分かった。さすがにこれは予測の範囲外だった に違いない。 「今更?」 「恋人に送るのも、ラブレターだろう?」 ささやかな抵抗を封じるように言葉を重ねた。 「・・・分かったよ」 岬の返答はまるで「降参」とでも言っているように聞こえた。
約束通り、送ってきた手紙を丁寧に開封する。メールでも良いと言ったのだが、律儀に自筆で書いて来た辺り、岬らしい。几帳面な文字で、便箋1枚。・・・本当に真面目だ。
若林くんへ 今更愛の告白というのも僕らしくないので、感謝を伝えたいと思います。
いかにも岬らしい出だしに、真面目な顔をして書く様子が目に浮かぶようで、顔が綻ぶ。
君に初めて会ってから、もう5年が経ちました。一昨年の君の誕生日に恋人になってから、もう2年。今年もほとんど会 えませんでしたが、お変わりありませんか? この前の電話の様子だと元気そうで安心しました。君は電話の声だけで、僕の様子が分かると言いますが、僕も少しだけ分かる気がしてきました。平気なふりをしても、気付いてしまうと思うよ。だから、あまり強がらないでね。 付き合いが長い割には、君のことをあまり分かっていなかったことを、この2年で知りました。君の弱いところも、やっぱり強くてかなわないと思うところも。それでも、あの時君に会いに行ったことや君の誕生日に会ったことは間違いでなかったといつも思います。
あれから、君からの励ましの言葉を、何度胸の中で繰り返したか、分かりません。
自分がこんなに弱かったなんて、初めて知りました。でも、それは今まで気付いていなかっただけだと、君は教えてくれました。そして、自分ひとりで頑張らなくても良いのだと、教えてくれたのも君でした。人を好きになる気持ちも。 いつも気遣ってくれてありがとう。 お誕生日おめでとう。また来年もその先も君の誕生日をお祝いできることを心から願います。もちろん君の活躍も。 そして、来年は直接お祝いに行きたいです。やっぱり君に会えないのは寂しいから。
自分がリクエストしたことではあるが、ラブレターだと思った。岬はそこまで意識していないのかも知れないが、天然の殺し文句には敵わないと思った。つられるように、少し逆上せた額に手を当てて、もう一度読み返す。次会ったら、いやおうなしに抱き締めてしまおうと思った、誕生日の日だった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 仕事きつくて、HP3位でキープ中。 これも若林くんのお誕生日に書いて、直せないままでしたので、今更UPしておきます。目次も放置したまま、若林祭も巡回できていないとか・・・。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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