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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
宝物SS『告白予行練習』
リンク先のCOLORS さまの桐乃様から、誕生日のお祝い第二弾ということで、素敵なお話をいただいてしまいました!

日本代表の合宿中のこと
3Mと呼ばれる僕達は、談話室のソファーでくつろぎながら前試合のビデオを見ていた。
時々自分達のプレイを反省しながらも、次の対戦相手とのシミュレーションをしていた。

その時、軽くソファーが揺れ、その方向へ顔を向ける。
相手はカミソリDFの早田くん。
「なぁお前ら、好きな奴に告白したことあるか?」
突然の質問に、僕達3人は目が点になる。
「告白・・・?」
「そう、告白。」
松山は腕組みして上を向き、三杉くんは顔を少し傾けて顎に手を添え、僕は太腿に手を置いて下を向く。
暫し、三者三様の方法で考えていた。

「ある?」
三杉くんが松山へ向かって声を出す。
「いや、俺のことはみんな知ってんだろう?」
松山の中学校全国大会での話は有名だ。
フランスで行われた国際ジュニアユース大会で合流した僕に、目の前の早田くんや石崎くん達が事細かに松山と藤沢さんのことを教えてくれた。その話には同じ学校の小田ですら知らない内容も含まれていて、松山が辟易していたのをよく覚えている。
「確か、藤沢さんがはちまきにメッセージを刺繍していたんだよね?」
「ああ“I LOVE YOU”って、いかにも青春って感じで可愛いよな。」
さらっと言う松山が何気に格好良いと思う。
「俺は美子としか付き合ってないし、その想いに応えた以外には無いぞ。そりゃ今は、好きとか愛してるくらいは言うけどな。」
少し照れた口調で話す松山の肩に、早田くんが腕を乗せて耳元で呟く。
「お前、浮気はせんのか?」
「する訳ないだろっ!」
松山の鉄拳が早田くんの頭を襲う。
「痛ぇ・・・。」
「馬鹿言うな!」
三杉くんと僕はお互いに顔を見合わせて溜息を吐く。
あ~あ、早田くんってば“日本代表の歩く風紀委員”に何を言ってるんだか。
「ほなら、三杉は?」
「僕も・・・自分から告白ってないなぁ。」
「何だ、反町と同じ事を言ってるやないか。」
「反町と?」
「いつも女の方から告白してくるから、自分からしたことは無いんだとよ。」
「ああ、僕もそうだね。」
さらっと言う三杉くんが何気に凄いと思う。
「あの彼女とはどうやって付き合ったんだよ?」
「ああ、ファンクラブの推薦を受けて付き合い始めたんだ。」
予想外な言葉に、松山と早田くんそして僕がコケる。
「み・・三杉くんっ!?」
「僕を取り合うような争いは醜いからね。中学へ進学する際にファンクラブへ誰だったら納得してもらえるのか考えて貰ったんだ。」
「それって、アリなんか・・・?」
「お前っ!そんな理由で青葉さんと付き合ってんのかよ!?」
松山が立ち上がって三杉くんの胸元に掴みかかる。慌てて早田くんと僕が止める。
「松山、やめろ!」
「おい三杉、見損なったぞ!」
「いや松山、落ち着いて話を聞いてくれ。」
三杉くんが松山をなだめる様に肩を叩き、胸元の手を解く。
・・・僕にはその姿が、まるで暴れ馬をなだめる騎士のように映った。
「誤解を生じたかもしれないけど、あくまでそれが切欠なだけだよ。それだけで10年以上続く訳ないだろ。弥生への愛情はきちんと持っているよ。」
「全く・・・もう、お前の言い方は時々びっくりするんだよ。」
「僕は松山の短気っぷりに慌てるよ。」
「いや、俺が真面目過ぎるのは分かってんだけどさ。より良いサッカーをするためにも、まずは代表メンバーの規律を正さないとな。」
ちょっとしたことで、すぐにマスコミに報道されてしまう昨今の状況だ。
翼くんがいない時、松山がキャプテンを務めているんだから過敏になってしまうのは仕方ないか。
いや・・・絶対、松山には若林くんと僕のことは言えないぞ・・・。
「それは松山の意見に同意するよ。この世代はしっかりしている割には時々お子様になるからね。特にディフェンス陣。」
「悪かったな!お子ちゃまで!」
「俺もそこに入るんかな・・・。」
「いや松山に早田くんや石崎くん、浦辺くんや井川、賀茂監督とか・・みんな自分に素直なだけなんだよねっ!」
「岬くん、そこで実名出しちゃフォローになってないよ・・・。」
「ところで、早田。」
4人で再びソファーへ座った後、三杉くんが早田へ話し掛ける。
「何や?」
「告白の方法を聞いて来るなんて、好きな人でもできたのか?」
「まぁ・・・そないなとこだ。」
ちょっと赤味の差した頬で答える早田くんが可愛らしい。
「君の思うとおりに相手へ伝えれば良いんじゃないか?」
「そうなんやけどな・・・それがちとややこしいんだよ。」
早田くんが僕達3人の方へ向き直す。
「相手が小学校からの友達なんや。急に女やったんだって意識し始めたもんでな・・・。」
「へぇ、素敵だね。」
「せやから告白が失敗しても元に戻れるように考えとるんや。」
「おっ前らしくないなぁ。」
松山が少し膨れっ面で早田くんを睨みつける。
「それじゃ失敗するぜ。」
「なっ・・・!」
「僕もそう思うよ。」
松山の言葉に、三杉くんも同意する。
「告白した後を考えるなんて早田らしくないぜ。後先考えないで、相手へ突進していくプレイがお前のウリじゃないか!?」
「松山、サッカーじゃないんだから・・・。」
「それに小学校時代からの早田くんと友達が出来る女の子なんて希少だよ。それだけ根性が座っている人ならきっと大丈夫。」
「三杉くん、僕達は早田くんの小学校時代は知らない・・・。」
「そっかぁ・・・そうやな!今の俺のまま告白しちまおうか!」
「え?早田くん、それで良いの?悩んでたんじゃないの?」
「ああ、こいつらにも俺のこと太鼓判を押してもろたし、何ぞもう当たって砕けろだな!」
2人に乗せられてコロッと変わるなんて・・・大丈夫なのかな?
「じゃあ、相手へ何て言うの?」
「そりゃあもちろん“今日はHするでっ!”だよな!!」
明るく叫ぶ早田くんに対し、僕達3人は脱力し無言になってしまった。

「お前達、ビデオ観てないんならその場所を譲ってくれよ。相手チームのビデオを見たいんだが・・・。」
後方から僕の想い人の声がした。
「おっ若林!良いところにやって来たな~。ちょっと教えてくれよ。」
「何だ?」
早田くんは立ち上がり、若林くんの傍らへ移動する。
「お前さぁ、好きな奴に告白するんなら何て言う?」
若林くんが暫し腕組みをしながら考える。
「それは・・・相手によるな。」
「じゃあ、小学校時代からの知り合いだったら?」
「昔からの知り合いなら・・・そりゃ直球で“今日はHするぞっ!”だよな。」
「えっ!若林くん!?そんなこと一度も言ったことないじゃない!?」
僕は思わず立ち上がって、若林くんの方を見て言ってしまう。
「え?」
松山と早田の声が重なる。
「おい、岬。」
若林くんの声で、僕はハッとする。

まっ・・まずい・・・!僕、思わず言っちゃったよ・・・!!

「岬、お前が何で若林の告白を知ってるんだ?」
「岬くん、どうしたんだい?何か急に思い出したのかい?」
「えっ・・とぉ・・あ・・の・・・。」
松山の言葉に頭の中がクラクラする。折角の三杉くんのフォローにも応えられない。
松山が僕の前に立ちはだかる。
「岬、お前まさか・・・若林と・・・。」
松山の眼光が鋭くなり、僕の事を睨みつける。早田くんも僕のことを見つめている。
三杉くんと若林くんが真剣な表情でアイコンタクトしているのが分かる。

やばい!本当にやばい!!おまけに今は合宿中なのに、どうしよう・・・!!
こんなことから、みんなに知られてしまうなんて・・・。
背中に冷汗が流れ始め・・・僕は両手の拳を握って下を向いてしまう。

「告白の予行練習をしていたのかっ!?」
「・・・はいっ?」
僕は驚いて顔を上げる。思わす声も上擦ってしまう。
「そっかぁ、若林の告白予行練習の相手をやっとったんだなぁ。」
「お前達はやっぱり仲が良いな。でも、若林がそんな予行練習するなんてちょっとなぁ・・・。」
「おっかしいよなぁ。」
松山と早田くんは、勝手に勘違いを始めて大笑いしている。
対して、若林くんはムスッとした表情に変わる。
「なぁ、若林ぃ。」
早田くんがニヤつきながら、若林くんの腕を突く。
「何だよ。」
「まさか岬が可愛いからって、キスの練習相手はさせてないやろなぁ?」
「させるか、馬鹿!!」
若林くんの本気のゲンコツが早田くんの頭を襲う。
「いってぇな若林っ!!冗談に決まっとるやろがっ!」
「冗談にも程があるだろっ!!」
若林くんと早田くんのじゃれ合いを松山が止めている間
三杉くんと僕はお互いに顔を見合わせて・・・深く息を吐き出しだ。

その日の夜、僕は若林くんの部屋を訪ねる。
幸い若林くんは一人部屋だから、二人でベッドの端に並んで座ることができる。
「・・・昼間はごめんね。」
「流石にちょっと焦ったぞ。それにしても岬らしくないな。」
「だって、若林くんが早田くんと同じ言葉を言うからびっくりしちゃって、つい・・・。」
「あいつの大きな声は、廊下に筒抜けだったんだよ。」
そっか、それで若林くんは同じ言葉を言ったのか・・・。
実はあの時、若林くんが本当にそういう告白をする機会があったのかなって、勝手に慌てちゃったんだけど・・・ね。
若林くんを不安げに見つめている僕を見て、若林くんが微笑みながら僕の頬に手を添える。
「馬鹿だな、本当の告白の言葉なんか言う訳ないだろ?」
「うん、そうだよね・・・。」
僕は若林くんの広い胸へそっと寄り掛かる。
「・・・俺の告白した言葉、覚えているか?」
「それは、もちろん・・・嬉しかったから。」
「じゃあ、お前からも言ってくれ。」
「・・・恥ずかしいから言わない。」
「・・・全く、おまえこそ予行練習が必要だぞ。」
僕の身体は、若林くんの身体にスッポリと包み込まれてしまう。
その優しい温もりに、僕の不安はすぐ払拭される。
「・・・でもね、若林くんからはもう一回言って欲しいんだ。」
「いくらでも言ってやるさ、お前のためならな。」
若林くんが僕の両腕を掴み、自分の胸からそっと離す。
「どうしたの?」
「でも今日は、キスの練習から始めるか。」

(END)

拍手ありがとうございます。
いただいたお話が面白すぎて、思わず吹き出してしまい、母に怪しまれてしまいました。
岬くん危機一髪にハラハラしましたが、何だか回避できたようで良かったです。
そして、その後のイチャイチャが素敵。この若林くんがどんな告白をしたのか気になりました。
桐乃様、素敵なお話をありがとうございました。
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