※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「冬の星座ってキレイだよね」 岬の言葉通り、空には輝石のかけらのような一等星が煌めく。日本より緯度の高いドイツでは、北極星は随分高いものの、冬の彩る星の名前はそう変わらない。 泊りがけで遊びに来てくれた岬と、色々見て歩き、家に帰るころには辺りはすっかり暗くなっていた。痛いような寒さの中、見上げた空は澄んでいて、星の光は冴えてみえる。 「そうだな。すばるがはっきり見えるな」 「おうし座のプレアデス星団だね」 おうし座のプレアデス星団はすばるとも呼ばれる。首飾りのように輪になった星は目が良いと7つも見えるそうだが、俺は6つまでしか見えない。おうし座はアルデバランという一等星もあり、冬の星空の中でも際立つ星座の一つだ。 「そう言えば、岬はおうし座だよな」 そう言うと、岬が闇の中で、不思議そうに首を傾げたのがほのかに見えた。 「僕、おうし座って言ったことあったっけ?」 岬が不思議がるのは無理もない。 「いや、前に占いの本で見た時に知ってな。意外か?」 俺と星占い。どう考えてもおかしい。失笑を誘うことを承知で尋ねたが、岬は夜目にも分かるほど首を振った。 「ううん、分かるよ。日本語の本って時々恋しくなるよね。あったら読んじゃう」 岬は白い息を吐き出しながら、しみじみと言った。そんなメランコリーでもないのだが、岬の口調につられて頷いた。 「おうし座は、まじめで慎重で、恋愛には奥手なんだってさ」 目の前の岬にピッタリだと思う。何度口説いても臆病で信じない、その心の中に入ることができるのは、いつになるだろう。 「そうなの?」 隣を歩く岬を盗み見る。橋の上は星がよく見えたが、道路に入ってからは打って変わって、店の明かりで照らし出されている。岬は一瞬こちらに視線を走らせ、それから前を向いて歩いている。早足になっているのは、動揺しているからかも知れない。 「そう書いてあった。俺はわざわざ調べたからな」 星占いなんて信じてはいない。それなのに、たまたま見つけた本を読んでしまった。それは絶望でもあり、希望にもなった。なかなか心を開かない分、一旦心に決めた相手をあまり変えることはなく、愛情を注ぐという言葉に励まされた。 「おうし座の攻略法」 岬が足を止めたのは一瞬だった。自分でも直接的な表現だとは思うが、岬の動揺を誘うにはこれくらいの言葉が必要なのだろう。俺は岬の手を取って、そのまま歩き続けた。
頭上では、冬の星座が輝き続けていた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 星占い、あまり詳しくありません。 昔から自分の星占い(という性格分析?)があまりに当たらないので、興味がなかったのですが、今回は星占いの話が書きたくて、サイトを見まくって書きました。 岬くんはおうし座、若林くんはいて座で、すごく当たっています。星占いサイトの分析で3回くらい妄想できる感じです。 相性は・・・やめておきましょう。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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