※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 その次に、明和で同じやりとりがあった。日向小次郎はアニメを見ていられる程暇ではなかったが、日向と岬のクラスの文化祭の演目が『フランダースの犬』だった。 「これ、お前みたいだよな」 教室の壁には、岬の描いた日向の顔が誇らしげに笑っている。自分とはプレースタイルは違うものの、自分に走り負けない、そして自分の欲しいパスを出す岬を、日向は気に入っていた。 「日向くん、何て呼ばれるのはむずむずするからよ、小次郎って呼べ」 「小次郎・・・くん?」 「小次郎、だ。友達なんだからよ」 その時の日向の表情が忘れられず、図工の時間に岬は友達の絵として描いた。 「へえ、絵うまいんだな」 感心したことを思い出す。下の名前で呼んで良いと言ったのは、友達だと思ったのは、岬が初めてだった。日向にとって、自分と同じように、何処か影を背負った少年に、出会ったのは初めてで、サッカーをする時以外にはおとなしく、欲望などなさそうな岬に、ネロという少年と同じ危うさを日向は感じた。 「そうかな?僕は家族の為に働くって聞いて、小次郎みたいだと思ったよ」 岬の言葉に、日向は首を振る。 「家族の為に、っていうのは特別なんだぜ。頼ってくれる誰かがいるっていうのは、自分を強くしてくれる。祖父さんが死んだ後、ネロが崩れていったのは、そのせいだ」 「じゃあ、小次郎。僕の兄弟になる?僕5月生まれだけど」 「俺が弟かよ!」 「太郎小次郎って、できすぎじゃない?」 「何だよ、それ」 笑い合いながら、文化祭の準備をした。二人ともサッカーの練習や家事に差し障らないよう、大道具の係である。手先の器用な岬と、力のある日向はここでも良いコンビだった。 「僕はこんなに殊勝じゃないよ。もっとずるいから」 そう言って微笑む岬がずるいようには日向にはどうしても思えなかった。 「ばか。お前はもっと自分を大事にしろよ」 その文化祭の当日が来る前に、岬は明和小を去った。だが、その文化祭を思い出すたび、日向は岬を思い出した。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 昨日の続き、なのでしょうか?自分は楽しかったです。 この二人も好きで、よく書くのですが・・・今日は健ちゃんがいないだけに、 このまま付き合ってしまいそうな勢いが。まあ、そんなことはさせませんけど。
拍手お礼: M☆様。いつもありがとうございます。松山くんって良い子ですよね。 その松山くんが岬くんといると、余計にほわっとした雰囲気なのが何とも。 気に入って頂けたら嬉しいです。
from past log<2008.12.19>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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