【前回までのあらすじ】「膝抱っこって良いですよね」というDRAGON PUNCHER さまのみちんこ様の言葉に乗せられて立ち上げてしまった、「膝抱っこ」企画。だって源岬って膝抱っこが似合いすぎるんですもの。という訳で、この記事にトラックバックで「膝抱っこ」話をアップしていきます。... 企画:膝抱っこはお好きですか?
一応、もう一つアップしておきます。 「あの・・・いつまでこうしていたら良いのかな?」 不安そうに岬が尋ねるのも無理はない。
岬に膝に座って欲しいと頼むと、岬はあからさまに嫌な顔をした。 「あのね、若林くん。そりゃ、僕達・・その・・付き合ってるけどね、女の子じゃないんだから、膝に座ったりはしないよ」 と言ったところで、部屋に猫が入って来た。隣の家の猫だ。この猫はいつもはおとなしいが、知らない人間を見ると、急に落ち着きがなくなる。前回岬が来た時は落ち着かないどころか暴れ回り、避けようとした岬にかえって尻尾を踏まれそうになった。 「えっ、何で!?」 岬は動物好きだけにショックを受けたのだろう、その日は猫に近寄ろうとはしなかった。 「な、だから膝に座っとけって」 「えっ!?えっ」 身動きの取れない岬をそのまま膝に乗せた。岬も仕方なく、ソファーに足を投げ出す。 「隣の人が急に預けに来てな。これでこいつも落ち着くだろ?俺も嬉しいし」 柔らかい感触を、腕だけでなく体で味わう喜びに、自然に顔はにやける。 「僕の意見はどうなるの?君やらしい顔するんだもん、いやだよ」 つん、と整った横顔を見せて、岬は顔を背けた。まるで背中を伸ばした猫の仕種だと、ドキッとした。しなやかな背が捻られている線が、妙になまめかしく思える。 「じゃあ、にやけなければ良いな?」 「えっ、ちょ、ちょっと・・」 真顔のまま岬をソファーに押し付けて、前屈みに身を倒す。 「岬」 耳元で名を呼ぶと、岬は動きを止めた。逃げられない体勢なのを利用して、柔らかい耳たぶに歯を当てる。 「岬」 目を逸らす顔が赤いのは、聞こえている証拠だった。くっついていることで、お互いの鼓動を感じて、見開いた目を覗き込む。 「笑ってないと動揺するくせに」 かあっと赤くなった頬を隠すように、岬が顔を逸らす。 「猫がいる間はずっと抱いててやるからな」 身を起こして、岬が座り直すのを手伝う。岬は諦めたように、テーブルの脚にじゃれている猫を眺めた。
「それで、いつまで預かる予定なの、この子」 「明日。そんなに二人っきりになりたいなら、すぐにでも返すぞ」 髪を撫でながらからかうと、岬は怒ったような呆れたような、そんな顔をした。 「それまでには、慣れさせる!」 すくっと立ち上がったかと思うと、岬は猫に近付き、そして抱き上げた。 「もしくは、猫の方を君に預ける。どう?」 眩しいような笑顔で言われて、脱帽した。
膝の上で借りて来た猫のようにおとなしかったことも、おとなしく膝の上に乗ってくれないところも、どうにも好きで仕方ない。 「わっ」 猫を受け取るふりをして、岬ごとまた膝に乗せたのだった。
(おわり)
BSで「猫/侍」観ながら書きました。あ、「ネコ侍」読みながらではありませんので、お間違えなく。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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