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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
フランダースの犬(1)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 そのアニメがこんなに流行るとは、岬は予想だにしなかった。しかも厄介なことに、流行のリバイバルは何年かおきに来るらしい。
 いくら裕福ではないにしろ、一応片親もいれば、働いたこともない。それなのに、そのアニメを見ると何故かみんな一様に岬のことを思い出すようだ。

 最初は松山だった。本放送自体の時期が遅かった富良野でのブームは、岬の転校と時期が重なったらしい。
「岬、何か困ったことがあったら言ってくれよ」
泣き腫らした目で両手を握る松山に、岬は恐る恐る聞き返した。
「松山?何を言ってるの?」
小首を傾げる可愛い仕草に、松山は昨日の可哀相な話を思い出したらしい。ついに感極まって、ボロボロ泣き始めた松山に、岬はハンカチを差し出した。
「本当にどうしたの」
そして、再度問われた松山は昨日の最終回の話をした。
 『フランダースの犬』というアニメの主人公ネロは、両親を早くに亡くし、祖父と犬と暮らし、働きながら画家をめざしている。やがて祖父も亡くなり、仕事もなくなったネロは、風車小屋の放火犯扱いをされ、クリスマスの夜の教会で、見たいと望んでいたルーベンスの絵を見ながら、犬と一緒に天国に行く、という話だった。
「それで、ネロは死んじゃったんだ」
ここまで説明するのに、松山は三回泣いた。しゃくり上げる松山の肩をさする岬の優しいふるまいも、容貌も、あの可哀相な少年を連想させるので。
「でも、僕には父さんがいるから。大丈夫だよ」
『フランダースの犬』というアニメを岬は見たことがなかった。可哀相な話も好きではない。心優しい岬は、自分の知らない相手であっても、人が不幸せになる話はいやだった。
「でも、何かあったらお願いするね」
岬の言葉に、松山は涙で濡れた顔を上げる。
「ああ、もちろんだぜ」
こんなきれいな心の友達がいる自分は幸せだ、と岬は思った。

(つづく)


拍手ありがとうございます。
先日来の前振り通り、これです。
他にあのアニメを見ていて泣き出しそうな人がいなかったので、松山くんに。

岬くんの声といえば、自分にとっては山田栄子さんなので、
世界名作劇場つながりなのですが、
岬くんはネロよりはアルフレドのような気が。
本当はこのアニメ見たことのない私ですが、しばらく続けます。

from past log<2008.12.18>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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