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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
嘘つき
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 部屋の前を通り過ぎた三杉は、自分の見たものが信じられなかった。もう一度振り返って見、それから慌てて駆け寄った。
「君達、何をやってるんだ!」
息を切らした三杉のただならぬ剣幕に、呼びかけられた二人、若林と岬は怪訝な表情で振り返った。若林は岬の顎に手をかけて、少し上を向いた岬に覆いかぶさるような姿勢のまま。岬はされるがまま壁に押し付けられ、目を潤ませたまま。
「えっ?」
「どうした、三杉、少し落ち着け」
意外そうな二人の反応こそ、三杉には心外だった。
「君達こそ、人前でそんな真似は控えたまえ」
三杉がそう言っても、二人は不思議そうにしている。
「何がだ?」
「そんな真似?」
キョトンとしている岬と、ムッとしている若林を見渡して、三杉は自分は余程不調法なことを言ったらしいと首を傾げる。若林は岬に関すること以外ではごく常識人であるし、岬はチームの良心とまで言われている。その二人が、幾ら人目を忍ぶ恋に溺れているとはいえ、理不尽なことを言うとは思えなかった。そこまで考えた三杉が一旦落ち着いたところで、若林が憮然と言う。
「岬の目にゴミが入ったのを取っていたんだが」
「そうなんだ。ほら」
少し潤んだ大きな目を擦りながら頷いた岬に、三杉は何とも形容しがたい表情を浮かべた。不敵に笑う若林の方は見ないまま。

「今回は見付けたのが僕だったから良かったけど・・・くれぐれも誤解を招くような振る舞いは慎みたまえ」
顔を真っ赤にしたまま言い置いて、三杉は早々に立ち去った。今にも叫び出しそうな三杉の後ろ姿を見ながら、若林と岬は顔を見合わせた。

「ごまかせたかな?」
「大丈夫だったろ?」
岬の目にゴミが入ったのは本当だ。逢瀬の最中、他に人のいないからと若林が取ろうとし、せっかくの接近に耐えられなくなった。そう言えば、しばらく岬を補給していないからと、背中に腕を回す若林に、岬は抱き込もうとする腕を手で遮った。
「ダメだよ、誰か来たらどうするのさ」
「目に入ったゴミを取ってるだけだろ?」
それ以上のことするくせに。岬の反論は届かず、三杉に見咎められることとなった。とっさの芝居とはいえ、その打ち合わせの甲斐あって、三杉の疑いを晴らすことには成功した。
 その一方、三杉が一応は信じながらも、納得いかない表情をしていたのは岬も理解していた。岬自身はともかく、岬にキスをしていても怒られなかったことで、若林が笑っていたのが、三杉の怒りを買っていたのは明白だった。
「次は協力しないからね」
「次は見付からん所に行こうぜ」
自然に肩を抱いて来る恋人に、良心の呵責とそれでも嫌いになれない気持ちを処理しかねて、岬は肩に回された手をつねり上げたのだった。

(おわり)


(おまけ)
「岬くん、目にゴミが入ったのなら、僕が取ってあげるよ」
それからしばらく、岬は目をこする度に近寄って来る三杉に悩まされ、若林は「三杉が岬に迫っている」という噂に歯ぎしりすることになった。

「っ痛・・・」
立ち止まった岬に、素早く駆け寄ったのは、少し離れたところにいた若林だった。しかも、駆け寄る過程で数人は蹴散らしている。
「ああ、ゴミが入ってるな。ちょっとじっとしてろよ」
岬の顎に手をかけ、少し上を向かせて、若林が岬の目を覗き込んだところで、その手を掴んだ者がいた。
「若林くん、僕が代わるよ。君だと身長差があって、取りにくいだろうからね」
「若林くん、三杉くんの言う通りだと思う。三杉くん、悪いけど、お願いするね」
公然の場所で若林に目のゴミを取ってもらうという事態に耐えられない岬が真っ赤な顔で言った。三杉はその援護射撃で若林を押し退けると、にやりと笑った。

「やっぱり僕は間違っていない」
と三杉が言ったとか言わないとか。
 それ以来、合宿所で岬の目のゴミを若林が取らせてもらうことはなかった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
連休やら何やらで少々忙しかったです。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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