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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
お題:「・・・これだけ?」
※二次創作です。女性向け表現を含みます。ご注意下さい。

本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら

 岬といると、つい出てしまう、口癖のような言葉がある。持ってくる荷物の量、持ち物の量。
「これだけか?」
反対に岬はいつも言う。俺の出す食べ物の量、買い物の量。
「こんなに?」

 岬がドイツに遊びに来て、数日目。親父さんが出かけたらしく、岬はあと何日かこっちにいられることになった。服を買い足しに行こうという俺に、岬は洗濯するから良い、と言う。
 それで、何とか連れ出したのに、岬が選んだのはたったの三枚だけ。
「もっとたくさん買えば良いのに」
むしろ買ってやりたい。あれもこれも、岬に似合う物はすべて。そして、色々な服を着た岬が見たい。
「荷物になるから良いよ」
岬はそう言うと、選んだ服をさっさとレジに持って行った。

 俺のうちには岬の食器も置いている。岬はやはり要らないと言ったが、俺は一通り揃えた。一緒に食事をしたり、そうでない時も岬の物が家にあるのは、何だか嬉しい。岬の為に、岬の物を選ぶのは嬉しい。
 さすがに、俺の家に自分のカップがあることには少し驚いた様子だったが、岬は嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。嬉しいよ。でも」
岬は少し言いよどむ。
「あまり無駄遣いしないでね」
岬の為に使う金が、無駄だとは思わない。まして、こんな風に喜んでくれれば、プレゼント冥利に尽きるのに。しぶしぶ頷きはするものの、平行線は続く。

 そして、次の日出かけた先で、俺たちはやはり同じやりとりをした。
 岬の腕時計の調子がよくなくて、直しに行ったのだが、やはり簡単に直りそうにはない。それで、当然俺は新しいのを勧めた。
「まだ使えない訳じゃないから」
ちゃんと使えるなら、店にも行かないくせに。そう思って見渡した店内で、ガラスケースに入っている時計に目を留める。
「あれ、どうだ?付けてみろよ」
柔らかい金色のムーブメントに、細めの皮ベルトは岬に似合いそうだった。
「良いよ。夕飯の買い物行こ?」
きっと似合うと思う。時計なら、要らないものじゃないし、常に岬が身に着ける。俺の贈った時計をはめている岬を想像した。
「買ってやるよ」
俺の言葉に、岬は首を振る。
「要らないよ。さ、行こ」
岬は店を出てしまった。

 岬は、欲しがらないだけではない。どちらかというと、何事にも執着がないように思える。昼の出来事が心の中にわだかまって、つい言ってしまった。
「岬はいつも要らないって言うよな。もしかして、俺も要らないのか?」
ずっと、思っていたことだった。告白したのも、会いたがるのも、俺。岬を好きでたまらないのも。でも、もし岬にとって迷惑なら。
「そんなことないよ。僕は若林くんと一緒にいたいから、来ているんだよ」
岬はいつもと変わらない口調で言ったのに、俺は岬が何だか感情を抑えているように思えた。怒りや哀しみ。そして、俺は思ったより岬に愛されていることに気づく。いつも何かに耐えて、遠慮する岬。気づいた今はそんな岬が愛しくてたまらなくなった。
「冗談だよ。ただ、岬が何もねだってくれなくて、淋しかっただけだから」
「若林くん、だって僕は何も返してあげられないし・・・」
岬に何か返してもらおうなんて思ったことはない。岬は他の誰もくれなかったこの気持ちを、俺にもたらしてくれた。
「そんなの良いよ。俺がしたいだけなんだから。だから、そんなに不安な顔するなよ」
俺が岬を離してやる訳ないんだから。俺は目元を赤くした岬の顔は見ないふりをして、岬を抱き寄せた。

(おわり)


拍手ありがとうございます。
あまり長くなったので、削ったら、何だかとっても淋しい話に。
もっとらぶらぶにしたかったのに。

拍手お礼:
k様。こちらこそいつもありがとうございます。お越し下さって嬉しいです。
実は僻地でこんなことをしておりました。
また是非ゆっくり遊びにいらして下さい。

M☆様。いつも温かいお言葉をありがとうございます。
いつも甘さ控えめですみません。
クリスマス、ちゃんと甘くできると良いんですが・・・。

from past log<2008.12.17>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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