※女性向け二次創作、というかDRAGON PUNCHER さまのフリー素材なので、三次創作です。苦手な方はご注意ください。 3
岬の言うことは時々分からない。
嫌われている訳ではないと思う。フランスから会いに来てくれた時は本当に嬉しかったし、淡い希望も抱いて、気持ちも告げた。
初めて会った時から、好きだった。 急に飛んできたボールを受け止めたら、そのボールを蹴ったのはやたら可愛い子で、顔を真っ赤にしながら謝るから、あまり強くも叱れず、修哲に行く途中だと言うから、浮かれて話していたら、南葛に転校すると言われた。残念だと思ってから、ふと気付いた。俺としては、会ってすぐにそんなに気になる相手というのも初めてだった。
もし、出会い方が違っていたら、と思ったりもする。南葛の岬ではなく、例えば明和の岬に会っていたなら、可愛い顔をしているとは思っても、つい目で追ったり、話しかけたいと思ったり、サッカーをしている時とは違ってみえる、独りの時の小さな背中を抱きしめたいと思うことはなかったかも知れない。
何も言えずに見送った、初恋のその相手が訪ねて来てくれたのだ。期待するなと言う方が無理に違いない。
訪ねて来た岬と話していると、岬はふと周囲を見渡した。 「やっぱり若林くんだね。ちゃんと周りに友達がいて」 嬉しそうに微笑む岬に、心の中に暖かい風が吹いた。木立の中を抜ける風よりも、俺の心を明るくする風。 「心配したんだよ」 俺の方が、ずっと心配したはずだ。それなのに、優しい笑顔に、強く言うことはできなかった。あまりに嬉しくて。 「やっぱり、岬は優しいよな。そういうところ、好きだぜ」 代わりに口にした言葉に、岬はくすくす笑った。・・・完全に一般名詞だと思われているらしい。お前だから、と口にしてもまったく取り合う様子はない。
俺がどれだけお前を好きか、思い知れば良いのに。
それで、お前が俺をどれだけ好きなのか早く気付けば良いのに。
他のことには察しが良いくせに、このことについては話にならない。
何度か様子を見て、いつもニコニコと遊びに来てくれる岬に、さすがに嬉しくなって想いを告げた。岬は白い頬を赤く染めると、笑えない冗談だ、と言った。 「僕達は友達なんだから」 友達、だなんて思ったことはない。最初から今まで、岬は俺の心を奪った相手で、いつもいつも、心を乱してくれる相手だ。
だが、岬が俺を友達だと思っていることは間違いなかった。そうじゃなければ、何回も会いに来たりしなかっただろう。好きだと言っても岬は信じなかったが、友達をやめようともしなければ、会いに来なくなることもなかった。 二人で旅行に出ることもあれば、岬が俺の家に何日も滞在することもあった。俺の友達連中は 「奥さん来てるのか?」 「ワカバヤシが頑張っている時は、たいていそうだもんな」 「夜頑張り過ぎるなよ。お前のハニーは華奢だからな」 と囃し立てる程、岬を歓迎してくれた。その邪推の通りになれば良い、と何度も思った。
岬は恋愛に臆病で、だから怖がって否定する気持ちも分からないでもない。俺を信じ切れないのも分かっている。それくらいなら待てる。 でも、せめてお前を守る権利だけでも欲しい。一緒に苦しみ、お前を支えるだけの権利が欲しい。
付き合っていると周りが思い込んでいるのは好都合だった。これ幸いと誤解を広めるよう努めた。周りから固めて、逃げ場などないように。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 おかげさまで体調はマシになりました。ただ、体力を消耗したらしく、動くのが辛かったです。 今日もさっさと寝ます。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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