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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
宝物SS:『幸せの時間』
リンク先のCOLORS さまの桐乃様から、素敵なお話をいただいてしまいました!
しかも、リクエストを聞いて下さるとのことでしたので「イチャイチャする源岬」と、自分にできないことをお願いしてしまいました。

「全く、君はいつも突然なんだから・・・」
「いいだろ。シーズンを頑張った俺へのご褒美なんだから。」
「・・・僕だってシーズン頑張ったんだけど?」
「そりゃそうだ。」
「それに、君の知り合いに会ったらどうするの?」
「もちろん、自慢するに決まってるだろ。」
「・・・もう。」

シーズンが終わり、ゆるやかに春から夏へとさしかかるこの時期。
俺達はハンブルグの家で休日を過ごしていた。
青空の下、庭で洗濯物を干していた岬に向かって、突然俺が言いだした。
「なぁ、お前と再会した公園で、お前の作った弁当が食いたいな。」

昼食というには遅くなってしまった時間―――
再会した公園の中を、俺達は手を繋いで歩いていた。
手頃な木の陰にシートを敷くと、爽やかな風が吹き抜けた。
「気持ちいいな。」
「うん。」
岬がランチボックスを広げると、色彩豊かなおかずが並んでいた。
「美味そうだ。」
「急だったから、自信ないよ。」
「いや十分だよ。」
俺がお茶を注いだコップを渡す。
「ありがとう。はい。」
岬がおにぎりを俺に手渡そうとする。
「アルミ、剥いてくれよ。」
「・・・もう、甘えん坊なんだから。」
ちょっぴり憎まれ口を叩きながらも、おにぎりのアルミホイルを剥いて俺に渡してくれる。
「ありがとよ。」
俺は岬の頬に軽くキスする。
「はいはい。」
平然と答えて皿と箸を用意しているが・・・お前、顔が赤いぞ。
相変わらず照れ屋だな。

「いただきます。」
2人共、胸の前で手を合わせ、軽くお辞儀をする。
まずは、根菜の煮しめに手を付ける。
「美味い!」
「本当?良かった。」
続いて唐揚げ、おにぎりも頬張る。
「本当に美味いな。」
「急いで食べて、むせないでよ。」
「大丈夫だよ。」
「こっちのおかず、お皿に入れようか?」
「あ、入れてくれ。」
ささみのベーコンチーズ巻き、ひじき入りの卵焼き、野菜ふんだんなポテトサラダetc・・・。
別のボックスには、カラフルなフルーツが何種類も入っている。
シーズンオフとはいえ、スポーツ選手の身体を考えたメニューが並んでいる。
「はい、どうぞ。」
岬がおかずを取り分けた皿を差し出し、俺の顔を上目遣いに覗きこんでくる。
「味は平気?」
その仕草がとても可愛らしい。
俺は片手で皿を受け取り、もう片方の手で岬の頭を撫でた。
「美味いよ。ありがとう。」
照れた岬がそっと目線を外す。
お世辞ではなく、本当に美味い。
岬の笑顔が隣りにあるから、更に旨味が増すんだろう。

俺がお茶を飲んでいると、今度は岬がこちらを向いた。
「量は足りそう?」
「ああ、大丈夫。十分だよ。」
「良かった・・・あ。」
「ん?」
「頬にご飯粒が付いてるよ。」
岬の指が俺の口元に触れる。
「取れたよ。」
「食べる。」
岬の手を掴んで自分の方へ引き寄せる。指先の米粒を舐める。
「・・・美味い。」
そのまま岬の手を握り続ける。
「・・・ねぇ、離してくれないと・・・僕が食べられないよ。」
「俺が食べさせてやろうか?」
「・・・嫌だ。」
隙を突き、岬が俺の手を振り払って横を向いた。
その気恥ずかしい様子も愛らしく映る。

「御馳走様、美味かったよ。」
食べ終わった俺は、両手を頭の後ろに組み横になった。
「食べてすぐに寝ると牛になっちゃうよ。」
「牛になったら、家まで連れて帰ってくれよ。」
「いいよ。夕ご飯のメニューにしちゃうから。」
「おい、俺を食うのかよ。」
岬は笑いながら、お弁当の片付けを始めた。
途中、岬がふと空を見上げる。
同じ方向に視線を移すが、そこには特別何もない。
「どうかしたか?」
「ううん・・・幸せだなって思って。」
「幸せ?」
「うん、ここで若林君と再会して、皆と一緒にサッカーができて・・・。」
岬が優しい瞳で俺を見つめ、微笑む。
「幸せだよ。」
「俺もだ。」

そよ吹く風が心地よい。
いつもの見慣れた景色なのに、今日は特に美しく感じる。
「なぁ岬、膝枕してくれ。」
「膝枕?」
岬は少し躊躇したが、後ろの木に寄り掛かって横座りをする。
「はい。」
俺は岬の右脚に頭を乗せる。
「大丈夫か?」
「うん。」

俺は静かに目を閉じる。
木々の葉が擦れる微かな音と自分の呼吸音だけが聞こえる。
このまま・・・本当に寝てしまいそうだ。

暫し、時か経った頃、
遠慮がちに前髪へ触れる感覚を感じた。
冷たい指先が俺の頬をなぞる。

そして、微かに聞こえた声
『若林君、大好きだよ・・・。』

俺は岬の手を掴み、瞼を開く。

岬の顔が驚き、一瞬で赤面する。
「いつから起きてたの?」
「最初から。」
岬の頭に俺の左手を添える。
自分の頭を上げると、2人の唇が軽く触れ合う。
お互いの視線が絡み合う。
「俺も大好きだ。」
「・・・若林君。」
「ずっと、これからも・・・お前だけだ。」

木漏れ日の輝くなか
頬が赤く染まったお前
伏し目がちに微笑む顔が愛らしくて・・・

俺は両手を頬に添えて、もう一度優しくキスをした。

ハンブルグは、もうすぐ夏を迎える。

(END)

岬くんのお弁当、膝枕、独り言、と味覚・触覚・聴覚のフルコースなサービスです。
イチャイチャ、というよりはラブラブだとご本人も書いておられましたが、私もそう思います。
でも、それが素敵。だって、二人ともシーズン頑張ったんですものね。こんなご褒美の時間があっても良いですよね。
まあ、私にとってもご褒美だった訳ですが。
幸せそうに過ごす二人に、心が和みました。
桐乃さま、素敵な作品をありがとうございました!!
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