※二次創作です。女性向け表現を含みますので、苦手な方はご注意下さい。
本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら 岬がフランスから来る、というので、若林はいそいそと帰宅した。練習が終わると、すぐに身支度を終え、クラブハウスを飛び出した。岬を待たせるわけにはいかない。 「こんにちは。お招きありがとう」 こう度々呼びつけたら迷惑になるか、と思わないでもないが、岬は迷惑なら断ることのできる性格である。だから、安心して友情を押し付けられる。今回もハンブルグ市立美術館でルーベンス展があるので、とりあえず連絡して、電車の切符を送った。 「こちらこそ。岬が好きかな、と思って」 若林の言葉に、岬は苦笑した。自分の興味に合わせてくれていたのは分かっていた。色鮮やかですっきりした物の多い若林の部屋からすると、印象派の方が好きそうな気がしていた。 「誘ってくれてありがとう。ハンブルグ市立美術館にも一回行ってみたかったんだ」 岬のその笑顔が見たくて、誘った甲斐があった。そうでもなければ、美術館の展示内容などチェックはしない。特に興味がないことをわざわざ調べるほど暇ではない。それでも、岬を誘う為なら、エサは必要で、それを用意するのもやぶさかではない。 「美術館は明日朝から行こう。今日は一緒に飯でもどうだ」 「うん。父さんでかけてるからちょうど良かった。父さんに自慢しちゃおっと」 微笑む岬に、外で夕食にしないか、と言いかけて、若林はふと気づいた。財布、はどこに置いただろうか。 「岬、俺クラブハウスに財布忘れて来たみたいなんだ。ちょっと、取ってくる」 日本ではない。すぐに電話して、という訳にもいかないだろう。若林の言葉に、岬は頷く。 「分かった。気をつけてね。その間に何か作るよ」 玄関先まで出て来た岬は、振り返った若林に、微笑んだ。 「行ってらっしゃい」
とても、我慢できなかった。暖かい岬の微笑にも、その言葉にも。自分の家で、岬が待っていてくれる、ということを再認識させられて、頭に血がのぼった。 「行ってくる!」 後ろを振り返れない。岬があんなに可愛く笑っているのをもう一度見てしまったら、自分は何をするか分からない。自分がこんなに息を切らして走っているのは、気を紛らわす為なのか、それとも早く岬の許に帰りたいせいなのか、若林には分からなくなっていた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 このお題ではこれしかないかな、と。
しばらくこれくらいの更新時刻になりそうな雰囲気です。
from past log<2008.12.14>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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