※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 以前ずん様拍手に置いていた結婚話です。 某マンガのパクリネタですので、パスワード付きにしました。 久しぶりに実家に帰るから、と遊びに誘われた。 若林くんの家には、小学校時代に何度か行ったことはあったけど、相変わらずとんでもない大きさだと思う。そして、この家の子なんだな、と思う。 若林くんほど、鷹揚で威厳のある同年代は見たことがない。どんな時にも堂々としていて、迷いのない強い眼差しには勝てそうもない。
通された部屋で、若林くんはソファーから立ち上がって僕を迎えた。そして、隣に座らせようとする。 「今日は実家だろ?分かってる?」 いつも人目を憚らない若林くんだけど、さすがに実家ではまずいんじゃないだろうか。他に人もいるし。仕方なく、少しだけ隙間を空けて、隣に座った。 「話があってな」 若林くんとは長い付き合いだ。そして、深い付き合いでもある。お互いしか知らない顔もある。 若林くんは、その僕から見ても、分からない表情をしていた。
「岬、結婚してくれ」 「ええっ?」 取り乱した僕に、若林くんはお茶をくれた。ゆっくりと飲みながら、言われた言葉を反芻する。
結婚、だって?
「まあ、聞いてくれ。お前も知る通り、俺は三男だろ?」 名前からも分かります。一つ頷く。 「俺の家では、家督争いのないように、長男に跡取り息子が生まれたら、惣領息子以外は男と結婚することになっているらしい」 え?僕は若林くんの顔を見返した。そういえば、先日甥が生まれたからって、お祝いの相談を受けたっけ。 「そんな風習があるとは、俺としても正直どうかと思うが・・・」 確かに、聞いたこともない話だけど、夏休みにこの辺の郷土史を研究した時に、土地の有力者の家督争いで、大変なことになったと書いてあった。あれ、きっとこの家のことだろう。全くないことではないと思う。 「だから、結婚しよう」 若林くんはさも当然のように、僕の手を取る。 「え、でも・・・」 それでも、この家だと政略結婚とかありそうだと思うんだけど。 「問題ない。俺が結婚したいのはお前だし」 若林くんの口調からは、迷いなんて微塵も考えられない。少しは迷った方が良いんじゃないかと思うほど。 「でも・・・」 僕は結婚自体に否定的な方だ。結婚には愛があっても、憎が絡むことがある。それなら、結婚しなくても、側にいる方が良い。 「そりゃお前の思いも分からないでもないが」 若林くんは前置きしてから、小さく息を吸い込んだ。 「どうせ結婚するなら、お前が良い」
若林くんは、泣き言を言わない。自分の苦境について多くを語らない。でも、何となく分かった。若林くんはどうやら、結婚を強いられているらしい。 「分かったよ。僕で良かったら」 同情じゃない。共感でもない。事情を理解した僕の胸に浮かんだのは嫉妬だった。
君を誰かに取られる位なら。
若林くんの幸せの為なら、身を引いても良いとこっそり思っていた。それなのに、そんな覚悟なんか少しもできていなかった自分に気づく。
「岬!ありがとうな。それなら、すぐに結婚しようぜ!式はいつで・・・」 まくし立てる若林くんに、ほっとする。見たことがない表情だと思っていたら、君でも緊張するんだ。 笑った僕に、若林くんも優しい笑顔をくれる。 「どんな突拍子のない話でも、お前と結婚できるならありがたい位だ」
(結婚編につづく)
某BLマンガのパクリ設定です。いや、似ても似つかない物に成り果てているので、ほとんど気づかれないでしょうが。 悲壮感の全くない若林くんと身構えっぱなしの岬くん。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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