※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「若林くんって、変じゃない?」 おずおずと、だがはっきりとした岬の言葉に、翼は目を丸くした。 若林は二人の同級生ではない。同じ学校ですらない。同じFCにいるチームメイトというのが正しい。だが翼にとっては親しい友達の一人だ。 「どうかしたの、岬くん?」 一方翼と岬は同じ学校で、同じ転校生同士、チームでもコンビを組んでいて、親友と言っても良い。 その岬からの相談がよりによってそれとは。しかも、生まれながらの南葛っ子である石崎がいないと来ている。そして、岬は翼よりも頭が良く、世慣れている。岬に分からないことが自分に分かるとは、翼はどうしても思えなかった。そこで翼は、一応事情だけでも聞くことにした。 「最近若林くんと帰り道に会うんだよ。それもよく」 「へえ・・」 「家の方角も違うのに、ランドセル持って」 若林の家は、山の手にある豪邸で、この辺りで知らない者はない。一方南葛小自体、昔下町と呼ばれた地域にあり、岬の家もそうだ。 「それで?」 「どうしたの?って聞いたら、何でもないって言うんだけど・・・おかしいよね?」 小首を傾げる岬の茶色い瞳を眺めながら、翼は小さくため息をついた。サッカーにしか興味がないと自覚している翼でも、時々ドキドキする程、岬は可愛らしい。シュートを決めた時に抱き合う時にも、ふと伸ばす手が遠慮がちになることがある。こうして見つめてくる瞳も、少し色が薄くて透き通った中に、甘くて濃い茶色が溶けているようで、目が離せない。 一番近くにいる自分でそうなのだから、うっかり、恋に落ちる人もいそうだ、と翼は思う。そして、その姿を求めて追ってしまう人も。 「岬くんと話がしたいんじゃない?若林くんって、サッカーの理論好きなんだけど、そういう本読んでる人ってあんまりいないから」 岬がサッカー理論の本も好んで読んでいるのはみんな知っていることだ。応急措置の基礎まで身につける徹底ぶりである。 「岬くんは図書館まで借りに行くんだよね」 翼の言葉に、考える様子の後、何か思い付いたように、岬は目を瞬かせた。 「そう言えば、市の図書館って、こっちだよね。若林くんも図書館に行く途中だったのかな?」 若林くんは借りるよりも買う派じゃないかな、と翼は思ったが、顔にも口にも出さなかった。 岬が口を押さえて、顔をみるみる真っ赤にしていたからだ。 「何か僕に文句でもあるのかって誤解してた」 誤解じゃないと思う。あるのは文句ではないけど。心の中で呟きながら、翼は天を仰ぐ。顔を赤くして恥ずかしがる岬の可愛らしいことと言ったら。若林くんじゃなくても、きっと参る。 ああ、もう。 「岬くんが心配することは全然ないから」 全然ない、を強調しながら、翼は断言した。 「じゃあ、更衣室でじっと見てたのもそうなのかな?」 暢気な口調で、呟いた岬の可愛い笑顔にも癒されることはなく、翼は若林を説教することに決めた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 天然な岬くんと、ツッコミの翼くんを一回書きたいと思いました。それだけです。 今年こそはGC月間頑張ろうと思っていたのですが、ひどい風邪と仕事が立て込んできたせいで、弱っていました。 明日はお休みなので、寝ます。最近睡眠時間は長いのに、回復する感じが全くないのが辛い。 どなたかべホイミをお願いします。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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