※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 シリーズ「甘い恋」。お題はTOY様よりお借りしました。 もしあの時間じゃなかったら。もしあの道を通らなければ。
若林くんと僕の出会いには、いくつものIFが絡む。偶然の針の隙間を縫うように、僕達はあの日に出会った。 同じ学校ですらなかったから、あの日に出会わなければ、そもそも知り合って友達になることすらなかったかも知れない。
そして僕達は友達になり、いつものように離れた。若林くんは他の友達と同じように寄せ書きをくれた。「俺も旅立つ」」という言葉の意味を理解したのは、それから3年後だったけれど。 若林くんがドイツにいることを偶然知った僕は、自分から若林くんに会いに行った。一度離れた友達に会いに行くのは初めてだった。
思えば、最初から特別だった。同じ学校でもないのに友達になって、隣の国まで会いに行きたくなったのだから。
だから、日本へ戻ることが決まった時に、離れたくないと思ったのも不思議はないはずだった。せっかく再会した友達ともう一度離れるのは、もっと痛みが伴うはずだった。別れの痛みなんて慣れているはずなのに、怖くて仕方なかった。
会いに来てくれた若林くんを困らせる気なんてなかった。 でも、強がれば強がるほど、やりきれない辛さと寂しさが募る。上手に笑おうとする程、心の中に溶けきれない澱が溜まる。 だから、手を放された途端、必死でしがみついていた。差し出された腕を掴んで、離れたくないと言ってしまっていた。 「俺もだ」 引き寄せ、抱き締めてくる腕に、僕はゆっくりと溶かされていく。乞われるままに口付けをかわして、ようやく自分の状態を認識した。そして、恥ずかしさが追いついてくる。
若林くんと、キスした。
認識した途端に、既に早鐘のようだった鼓動が一層早まる。
キスをするのは初めてだ。
誰かとそんな風になるとは想像したこともなかった。 友達である若林くんとこうなるとは思ってもみなかった。
でも、どこかでそれを望んでいた。思い返せば、出会った時から特別だった。
激しく脈打つ鼓動は、触れ合ったところを介して認識させられる。息苦しいほど、身体中に鼓動は響くが、途方もなく心地好い暖かさで、胸が満たされていくのを感じる。何度も唇を重ねるうちに、ねだるように首を伸ばしている自分に気づく。 「あ・・あの・・」 急に恥ずかしくなって、顔を背けようとした途端に、テーブルに背中を押し付けられた。半ば寝かす形で、口付けは降る。 「嫌なら言えよ。俺舞い上がってるからな」 「嘘・・・つき」 息が上がり、途切れ途切れになってしまった。手慣れた様子でキスを繰り返す若林くんに、一方的に翻弄されている気がする。 「小学生の時から、狙ってたからな」 耳元に囁きが落とされる。いつもより数段低くて、ひそめられた声は、僕の躯の奥までを痺れさせた。 「岬、好きだぜ」 それはまるで死刑宣告だった。捕食されることを悟りながら、僕は目を閉じた。
リンク先DRAGON PUNCHER さまのみちんこ様より挿絵をいただいております。ご堪能ください。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 明日仕事なので、早めに寝るつもりが、どうしてこうなった。 以下、拍手お礼。 桐乃様、いつもありがとうございます。 源岬はパターンが限定されていますが、ハッピーエンドだと更に少なくなる気がします。 ワンパターンで二人が幸せ、を書くのが楽しいのですが、直球が苦手なので、つい変化球でいってしまいます。 常に直球勝負で行けると良いのですが。ドキドキ楽しんでいただけたようで良かったです。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
仕事人パロ書いてしまいました。ずん様の誕生日にずん様拍手に置く可能性が大です。 クレスリウム王国様に献上しようかと思ったのですが、源岬要素がやや薄いので・・・。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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