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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
節分
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「岬、頼みがあるんだけどな」
「浦辺くん、どうしたの?」
急に教室に来て、手を合わせる浦辺に、岬は不思議そうに首を傾げた。
「知り合いの店を手伝ってくれないか」
遠慮がちに頼む浦辺に、何か事情があることは理解できた。
「とりあえず話聞くよ。ここで良い?」
浦辺は頷くと、岬の隣の空いている席に座った。本来の席の主である井沢は、今日は委員会でしばらく席を空けている。
「俺ん家の隣の弁当屋さんが、去年から太巻を売り出したんだけどな」
「うん」
「去年かなり売れ残っちまって。去年、俺が部室に持って来ただろ?」
浦辺の言葉に、岬は記憶を蘇らせた。賞味期限があるからと浦辺は朝練に太巻を持ち込んだ。みんな喜び、朝の内に大量の太巻をたちまち消費してしまった。
 もちろん岬自身もお相伴に預かった。むしろ優先的に渡された。美味しく手作り感のある太巻など、なかなか手に入るものではないため、堪能したものだ。
「今年はちゃんと売りたいらしくて、誰か売ってくれる人を探してるんだ。それで、岬に頼みたくてさ。なあ、頼むよ」
浦辺の話に岬は笑顔を浮かべた。自分のことのように必死な浦辺に、去年おすそ分けを貰った責任も感じる。
「練習は休めないからね・・・終わってからなら良いよ」

 そうして引き受けた1日アルバイトだ。浦辺が親身になって引き受けるのも頷ける、優しい老夫婦の店に、岬も少し遠いけど、たまにはここまで来るのも悪くないと考えたところだった。奥から荷物を運んで来た、浦辺と手伝いの新田は岬の姿を認めると、浦辺をつついた。浦辺は新田の目配せに、何やら小さな袋を渡して来た。エプロンはさっき貰ったし・・・と岬は頭を捻りながら開封し、それから手を止めた。袋から転がり出たのは鬼の角を模した飾りで、カチューシャになっており、簡単に付けられるようになっている。
「浦辺くん、これ何?」
「節分だからよ、新田が買って来てくれて」
可愛い後輩の新田が手伝っているのが嬉しいのか、その後輩の気のきくところもアピールしたいのか、浦辺があまり嬉しそうに笑って言うので、岬は断るタイミングを失い、浦辺に随って、頭に付けた。
「岬先輩、似合いますね」
携帯カメラのシャッター音とフラッシュが同時だった。明らかに写真を撮ったらしい新田に目を向け、岬はわざとにこりと微笑んだ。
「・・・消して?」
「あっ、バレたっスか?でも、他の先輩方が・・・」
誰だろう。岬の弱みを握って云々という輩は部内にはいないが、海の向こうの熱烈岬ファンであるGCの片割れに送ってやりたいというお節介者には心当たりがあった。
「部内だけだよ」
そして、岬も翼に送られるのは仕方がないと思っている。何しろ、翼の恋人であるマネージャーまでもが岬の写真を送っているのだ。
「ありがとッス」
頭を下げた新田に、しまった、接客の前に礼儀を教えるのであった、と岬と浦辺は顔を見合わせた。

 岬達の奮闘で、太巻はよく売れた。商店街に買い物に来た主婦達は景気よく予約をしてくれたし、近くの南葛生達はその場で買うものが多かった。もちろんチームメイトも代わる代わる顔を出した。当日一日だけの販売としては上々の売り上げで、美味しい太巻を売る店としての認知度は上がったに違いない。
「今日はありがとな」
老夫婦から託されたお土産の太巻を手渡しつつ、浦辺が笑う。袋にはもちろん、彼の家自慢の豆腐も入っている。
「こちらこそ。おかげで素敵な晩御飯が手に入ったよ。他のお惣菜もおいしそうだし」
バイト代も貰ってはいる。お惣菜を買って帰ろうかと思いながら、岬は微笑んだ。
「岬さん似合いますよね、それ」
視線を感じれば、新田がまたもや携帯を構えている。新田ばかりではない。新田いわくの先輩方、もかわいい可愛いと携帯を構えていった。
「もう、いい加減にしてよね」
岬の意志に反し、カチューシャを付けたまま苦笑する岬の姿は大層可愛らしい。

 後日、その画像がドイツにまで渡り、某W氏のコレクションになったのは言うまでもない。

(終わり)

拍手ありがとうございます。
近所のコンビニの店員さんがそんなのを付けていたんですよ。それでつい。

「・・・こんな時間にメール?井沢?あいつ時差分かってるだろうに」
「って、何だこれ、エプロンに鬼の角って可愛すぎだろ!岬、何やってんだ。ああ、癒されるなあ。可愛いなあ。ちょっとネコ耳っぽくもあるな・・・いかん、明日試合じゃないか。…ダメだ。これはダメだ」
なんて若林くんが反応していると更に萌えます。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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