※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 除夜の鐘が鳴る。久しぶりに日本で、しかも二人で迎える大晦日。雪の気配に外も静まり、ただ鐘の音が響く。 「年越し蕎麦なんて、久しぶりだぜ」 「今年は手打ちにしたんだよ。松山が蕎麦粉を送ってくれて」 今年はお互い直前まで仕事が入り、随分忙しい年末だった。 窓の外は冷え込んで、とうとう降り出したらしく、牡丹雪の影がカーテンの向こうに躍る。暖かい部屋で、熱い蕎麦を啜る贅沢に若林が寛いでいる様子に、岬も忙しい思いをした甲斐があったと微笑む。 「こうしてると日本に帰って来たって実感するぜ。除夜の鐘が鳴ってて、年越し蕎麦もうまいし、岬もいるし」 「僕?フランスでも会ってたじゃない」 ドイツで年越しをしたこともあったのだ。その時は、日本から送って来た餅をストーブで焼いて食べた。雑煮が食べたいと言う若林に、岬が「どこ風?」と返す一幕もあったが、楽しい記憶の一つとなっている。 「そうなんだけどな。でも落ち着く」 背も高く、体格の良い若林からすれば、岬家のコタツは窮屈なのだが、それを感じさせない程ゆっくりしている。 岬はいつもより少しだけ背を丸めてコタツにおさまり、のんびりと蕎麦を味わう若林を眺めた。普段の戦う姿、からは想像できないが、それでも自然で何年も日本を離れているとは思えない。 「でも、僕も日本で君と会うと、ただいまって思うよ」 岬の感慨に、若林も笑みを漏らす。お互いに、帰るべき場所が異国になって久しい。それでも、お互いが故国同様懐かしい存在となっている。 「そうだな。俺もそんな感じ」 そんな他愛のない会話を交わす内に、時計代わりに流していたテレビが、年越しの近いことを知らせる。 「もうそんな時間か」 「うん。そうみたい。・・・時間ってあっという間だね」 「お前といると余計にそう思う」 コタツの暖を惜しみながら、コタツから出る。それから座り直す。 「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」 深々と頭を下げた後、顔を見合わせる。そんな些細なことすら、珍しくて笑ってしまう。そんな幸せな新年の光景。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 大掃除中に思いついたので、書いてみました。 自分が蕎麦アレルギーなので、蕎麦の美味しさについては語れませんが、コタツの素晴らしさについては語る自信があります。 あと、源岬についても。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 真
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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