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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
奇襲
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 予定を早く切り上げられた。LCCがたまたま取れた。乗り換えがうまく行き過ぎた。
 偶然が重なって、岬がハンブルク空港に着いたのは約束の半日前だった。明日からのオフが重なったから、と約束したのにこんなこともあるんだな、と岬は腕時計を見直した。
 じゃあ連絡して・・・と思い、携帯電話を取り出したところでふと立ち止まる。

 どうせなら、直接押しかけてみようかな。大人になってからはそうでもないけれど、奇襲や突然の訪問は得意技だ。

 岬は携帯電話をバッグに片付けると、足早に歩き出した。空港から電車に乗って、歩くことにする。何度も来た道を、たまにはゆっくり歩くのも悪くはない、と言い訳するまでもなく、悪戯心の産物である。そして、買いたいものもあった。

 アパルトマンまで、そう時間はかからなかった。今日は一体どうしたんだろう?と岬自身訝しまずにはいられない。以前に半ば強引に渡され、預かってはいるものの、ほぼ使ったことのない合い鍵を鍵穴に差し込んで、岬は中に忍び込んだ。
「お邪魔します」
若林がいないことを察しながらも、そう声をかけてしまう岬である。案の定家主は不在で、岬はリビングに荷物を置くと、とりあえず窓を開けて空気を入れ替え、コートを脱いでから、ソファーに腰かけた。

 疲れた。

 ソファーに座った途端に、一気に疲労感が押し寄せる。
 岬は同年代の日本人の中では人一倍旅慣れていると言える。父親に連れられて、日本全国行脚さらにはフランスにまで連れて行かれた。その上 、単独でも世界旅行をしているし、国際大会での遠征も多い。旅を意識するまでに、旅は身近なものだった。それが、今回は確かに幸運に見舞われたとはいえ、急いでいたことは否めない。急ぐ旅でもないのに、後から考えれば無理のある旅程だった。

 そんなに早く会いたかったんだ・・・。

 自覚はしていなかった。ただ、思いついてみると、それが正解に近い気がする。この家で出迎えてくれる相手がいないだけで、ひどい徒労感があった。

 そんなに寂しがりでもないんだけどな。
 
 自分に言い訳をして、岬は窓を閉めてオイルヒーターを点けた。寂しい気がするのは寒いせいだ、と弁解する必要などなく、誰もいないのにもっともらしい言い訳をした。


 今日の試合はうまく 行き過ぎた。帰途をたどりながら、若林は思った。どうせだからと若手を起用した監督の読みも当たって、ワンサイドでもなく、膠着もせず。ホームゲームだったこともあり、スタジアムいっぱいのサポーターは満足げに見えた。
 その家に高揚感のままに帰宅すれば、家は温かく、待ち人が既に着いている。帰り着いた若林が見たものは、ソファーで眠り込んでいる岬だった。ソファーの肘掛けに倒れ込むように身を伏せて、岬は静かに眠っていた。オイルヒーターで部屋は適度に温まってはいるが、若林は岬の脇に手を回し、抱き起した。
「岬、こんなところで寝たら風邪ひくぞ」
「・・・あ・・若林くん・・」
眠りを中断され、重い瞼を半分だけ持ち上げると岬は顔を上げた。強固な睡魔に苦戦して いるらしく、ほとんど目は開いていない。それでも、起きようと苦心する岬に若林は黙って見下ろした。いくら見ても見飽きない顔に、明らかな疲労の色が浮かんでいる。
 明日来るとは聞いていた。それまでは忙しいから・・とも聞いていた。
「こっちも、試合終わったら次の日からはオフ取れるからな。待ってるぜ」
そう答えた覚えがある。それが、既に到着して眠っている。更に、眠り込んでいた岬のトランクに貼られたステッカーから、岬がいつもはあまり使わないLCCを使って来たことが分かった。急いで来てくれたらしいと悟った以上、少しでも寝かせてやりたいと思わずにはいられなかった。そこまでして来てくれた気持ちが何より嬉しい。
 そして、目の端に見えたのは、きれいに飾り立てられたテーブル。

 静かな寝息を立てている岬の体に腕を回して、若林は岬を抱き上げた。寒いのを覚悟してきたらしく、温かそうなセーターを着ている。それを加味しても 相変わらず軽い。同じサッカー選手としては心配にならない訳ではない。だが、恋人としては別だった。しなやかな背中のラインはいつも若林の理性を奪う。ふと連想してしまったことを振り払うように、若林は身を震わせた。今晩は諦めると決めた以上、考えれば切なくなるに違いない。
 岬をベッドに沈める。白い頬を桜色に染め、明るい色の髪を枕に散らばらせる岬は、シーツの海をたゆたうように見えた。
「ゆっくり休めよ」
掛け布団を掛けてやり、部屋を出ようとしたところで、若林は衣擦れの音に気付いた。ゆっくりと半身を起こし、岬が若林を見ていた。
「岬、ゆっくり寝てろ」
ベッドサイドに戻り、岬の体を横にしようとしたところで、若林は手を止めた。眠そうにしながらも、岬は目を開け、若林を見ていた。視線が絡み合った。
「・・・・若林くん・・・お誕生日おめでと・・」
眠そうにしながらも、身を起こし、岬は微笑んだ。いつも通りの優しい笑顔、ではあるのだが、なかなか会えない恋人からすると、それは即効性で致死量の毒に等しかった。誕生日など意識していなかったとはいえ、その日の内に祝ってくれる言葉。しかも、今日の試合はうまくいき過ぎだったのだ。たまには、褒美があっても良い。
「岬!」
「え?」
ゆっくり休ませてやろう、とか明日まで待とう、という気持ちは消え失せ、若林は岬を抱きしめた。急に抱きしめられて、少し目の覚めた岬が驚いたように声を上げるが、その声すらキスに飲み込まれてしまう。
「・・ん・・んんっ」
若林の腕でもがく岬は、まだ完全には目覚めていないのか、手の動きがまだ鈍い。触れるだけの行儀の良いキスが、背が反るほど激しいものに変わっても、弱く腕を握るところでおさまっている。久しぶりの柔らかい唇に、もう一方の当事者は収まらない。いつもなら猛抗議のところが、おとなしく体を預けられてしまっているのも、効いた。
「岬」
耳元で、息を殺すように囁かれて、岬の意識は覚醒した。眠さも吹っ飛んでしまうほど、切なさを含んだ恋人の声に、心臓が跳ね上がる。
「駄目だよ、僕来たばかりでシャワーも・・・」
「それがどうした」
若林はこともなげに言うと、岬の背に腕を回した。触れるには分厚いセーターを剥がしてしまうと、薄手のシャツに覆われただけの首筋に顔を埋める。薄手のシャツはたいした障害ではなかった。ボタンをいくつか外し、はだけた襟からのぞく鎖骨に若林は息を飲んだ。久々に見る真珠色の肌は目に焼き付きそうだ。
「岬の匂いがする」
「・・ちょっ・・」
既に汗ばんだ肌に顔を寄せられて、岬は汗が更ににじんでくるのを感じた。抗議しようとしたところで、また唇ごと言葉を奪われる。いくら久しぶりとはいえ、ここまで余裕のない若林もまた珍しい。
「何か・・・あったの?」
シャツのボタンはかろうじて一つしか留まっていない。衿元を大きく開かれ、あらわになった首筋を舐め上げられながら、岬は若林を見上げた。
 来て早々問答無用に襲われている岬であるが、もし若林が辛いのなら、と慮る気持ちは失っていない。口にはしなくても、岬にも時にやたら激しく抱かれたい時があるのも事実だった。
「誕生日祝いに来てくれたんだろ?あと、今日は劇的に勝った」
弾んだ声だけで、若林の興奮が伝わる。喜びの抱擁も一緒に分かち合ってほしいという要求は、何だか可愛らしいものに思えた。誕生日を迎えて同い年。岬が口にだそうものなら、若林に強く否定されるだろうが。
「じゃあ仕方ないね。お誕生日おめでとう」
柔らかい笑みで、岬は頭上の若林の背に手を伸ばす。服すら脱がずに抱きしめてくる腕が強くなった気がして、岬は苦笑した。

(おわり)

若林くん、お誕生日おめでとうございます!
やっぱり、お誕生日にはイチャイチャかと。
それで今年はこれに続けて久々の拍手をやるつもりだったのですが、今回は無理でした。
体調悪いのに、少しエッチなシーンを延々と書いて・・うん、無理。
途中まで書いたのですが、間に合わなかったので、そのうち公開できたらします。

拍手ありがとうございます。
最近寒いので、風邪やインフルにはお気を付けください。
私はかれこれ3週間引いています。このキープ力・・・要らない。
以下、拍手お礼

くるみ様、こんばんは。
身に余るお言葉の数々にこちらがくらくらしております。
オリジナリティはないですが、妄想はすごいです。公開できないことも多いですし。
時代劇のシリーズを気に入っていただけて嬉しいです。
某殿様は星夢様の作中の若林くんのリクエスト、に萌えてしまい、すごい勢いで書いたものなので、本当に恥ずかしいです。
最近気に入っていた時代劇風漫画を源岬でWパロディできないか、は考えていたのですが、これも公開できそうにないことに(泣)。
ただ、時代劇は好きなので、また機会があれば、書きたいと思っています。
コメントありがとうございました。

snow様、いつもありがとうございます。
遠距離な二人ですので、携帯電話でやりとりしていたら可愛いと思います。
寝起きの岬くんは絶対可愛いですよね。少し言葉がゆっくりだったら可愛い。
もしふにゃふにゃ言っていたら、録音モノです。
そして、少し体温の高い若林くんに寝起きの状態ではくっついているのですが、目が覚めても絶対に離してもらえないので、
「もうっ、離してってば。若林くん、起きてるんだよね?」
とか真っ赤になって怒っていてほしいです。
この記事アップしたら、すぐに遊びに行きます。
こちらこそ源岬補充させてください!

拍手のみの方もありがとうございました。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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